前回から少し時間が経ってしまいましたが、続きを書いていきたいと思います。


 2.そもそも、憲法ってどうしているの?


 何回かの話を読んだ方ならもうおわかりですよね。


 平たく言えば、憲法は国が守る法律ということです。


 権利の請願の歴史から近代までの歴史を簡単に説明すれば、清教徒革命、名誉革命、権利章典、アメリカ独立戦争、フランス革命などを通じて、人々は参政権を国から国民、つまり自分たちが持つようになります。その中で、『近代国家』として、他の国から認められるには憲法が不可欠だと言われるようになります。また私たち国、日本でも、明治維新以後において、憲法の必要性が重視され、議会の成立とともに、大日本国憲法が創られました。この憲法の草案がドイツ憲法であり、それを視察したのが初代総理大臣、伊藤博文でしたが、この辺りは日本史で聞いたことがあると思います。


 では、なぜ憲法が不可欠だといわれたのでしょう?


 歴史というのは暗記科目だと、よく言われておりますが、歴史を得意とする方は歴史を暗記科目の位置づけで覚えていることはあまりないと思います。確かに正確な年号やら事件の名前は覚えることが必要ですが、歴史を覚えるコツはなぜ?を考えることだと思います。


 少し、試験勉強的な話になりますが、この憲法が不可欠だという理由がわかるだけで、日本史で出てくる伊藤博文が何をして、どうしてそんなことをしたのかが推理できるんですよ。


 伊藤博文という名前を思い出すことは簡単だと思います。ですが、何をした人物か思い出すことは難しいかと。


 『ああ、確かに日本史で伊藤博文って、出てきたなあと・・・でも、何をした人だっけ・・・。そうそう、初代総理大臣だ』


 この当たりもなんとなくわかるんじゃないでしょうか。ですが、試験というのはこんな簡単な事はほとんど聞かれません。普通に考えれば、伊藤博文がなぜ、総理大臣に選ばれたかを聞く問題が多いと思いますし、記述式ならさらに難しくなります。


 『総理大臣に選ばれたのだから、きっと何か凄いことをやったんだなと。じゃ、何したんだろう・・・。そうそう、どこか外国に視察に出かけたんだよな?どこの国だったかな・・・それに何しにいったんだ。視察ということは遊びじゃないよな・・・伊藤博文が初代総理大臣になった時に、何か重大なことなかったけ・・・ああ、そうだ。憲法だ。確か、大日本国憲法ができたんだったかな』


 まあ、ここまで思い出し後は、文章を構成して繋げていけば、半分の点数はもらえると思います。


 話を戻して、なぜ憲法が不可欠なのかの答えを述べたいと思います。憲法は国が守る法律だと上で説明しました。国が守る法律。つまり、他国から見れば、その国はその憲法に従って、条約やら協定などの外交政策を結ぶということがわかります。言い換えれば憲法というのは、自分たちの国がやることとやらないことを書いてある、いわば国の指針だと言い換えることができます。


 日本は憲法を作ることで、私たちはこんな取り決めで、皆さん方とお付き合いしますよ。と、全世界にアピールしたわけですね。これでより国の指針が明確になり、他国は日本の憲法を研究することで、日本との付きあい方を考えるわけです。憲法が、もしなければ、日本という国が何を考えているのかが明確にわかりません。例えば、大日本国帝国憲法の第一章にこんな記述があります。


 第1条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス


 文字が今と違って、カタカナでわかりにくいですが、簡単に要約すれば、大日本帝国(日本)は天皇が統治しています。ということです。これによって、他国は日本の統治者が天皇だということを知ることができるわけです。こんな決まりが延々と書かれております。余談ですが、少し見て行きましょうか。


 第2条 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所に依リ皇男子孫之ヲ継承ス


 皇室典範というのは特殊なもので、私たちにはまったく関係ない天皇家だけの決まりごと大全集みたいなものです。その中で皇位は、男子だけが継承すると書いてあります。


 第3条 天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス


 天皇は神聖(神様みたいなもの)なので、絶対に逆らってはいけない。と要約すればいいと思います。べからず・・・~してはいけないのという、強い禁止の表現だったかと。


 こんな感じで色々と書かれているのが憲法で、昔の文字であるために、あまり意味がわかりにくいのですが、我々にとっては学習する上で必要なだけで、生活にはまったく必要ないので気にしなくてよいかと。


 長く説明してきましたが、憲法というのがなぜ近代国家に不可欠だということがわかったでしょうか。この時代の強い国を列強と呼んでおりましたが、列強国は言わずと知れたイギリス、フランスまたはドイツなどをはじめとする先進国の面々です。


 その仲間入りするためには、大人の付きあい方として、憲法や議会やら、後様々な政策が必要だったのです。ルールがない国は野蛮国、非文明国とみなされていた時代ですので、あまりピンとこないかもしれませんが、時代の風潮というのはその時代をよく知らなければわからないものなので、わからなければ飛ばしてくださいませ。


 日本を近代国家に仕立てたい。そのためには議会や憲法が必要だ。今の日本の天皇制を維持しながらも、都合のよい憲法はどこの国か・・・伊藤博文はそのために各国の視察に赴き、最終的にドイツ憲法が理想的な形とみて、それを元にして、憲法を作成したわけです。


 さて、これで2の疑問が説明できました。憲法が必要な理由は、大きく分けて3つ。


 1 国が守る法律が必要。


 2 他国から自分たちの国を知ってもらう(外交上)。


 3 私たち(国民として、また人間として)が最低限守らなければいけない約束。


 3は道徳やら公共の福祉に関することです。日本国憲法でも、よく公共の福祉に反しない限り、という条文が出てきますし、何度かブログでも説明した内容です。


 ようやく2も説明できましたので、次からは残り二つの疑問を説明して行きたいと思います。