前回の終わりにポツダム宣言を取り上げました。


 途中から読んだ方や、初めて読んだ方には、是非とも過去ログを振り返ってもらいたのですが、何かと忙しいと思いますので、少し前回までの総まとめをしておきます。


 まず、今回の主題に取り上げているのは『憲法』の話です。近年、日本で『国民投票法案』が可決されました。この法案は、今まで一字一句変えることがなかった日本国憲法を変えることができるようになるルールを定めた法律です(かなり意訳にですが)。


 ですが、この憲法が作られたのは60年以上も昔のことです。この文章を書いている私も、またほとんど読者の方も産まれていない頃のことです。そのために、憲法については謎の部分や疑問点が多く残っていると思います。


 しかし、そんな謎や疑問点を解き明かしていくのがこのブログの主題ではありません。


 あくまでもこのブログは、遅かれ早かれやってくる『改憲』という、センセーショナルな出来事に対しての心構えみたいなものなのですが、あまり深く突っ込んでいくと、それだけで一冊の本になる奥深い内容ですので、私は代表的な疑問を3つだけ取り上げて、できるだけ簡単に説明しようと思って、書いているのがこのブログだったりします。


 1.なんで憲法を変える必要がある? 


 2.そもそも、憲法ってどうしているの? 


 3.日本の憲法って、誰が作ったの? 


 この3つでしたね。毎回、わざわざ取り上げているのは、いったい何の話をしているのかを、私自身が理解するためであったりもしますが、文章をまとめていくというのは、情報の選択と排除を繰り返し行い、わかりやすく説明するように心がけることだと思います。


 それを推敲や編集と一般的にいいますが、文章が長くなるにつれて、その作業は困難なものになりやすく、主題から離れてしまうことが多々あります。それを避けるために、何度も出して、同じことを繰り返しているのですが、わかっている人間からすれば回りくどく感じるかもしれませんし、実際、内容が進まないというジレンマにも陥るのですが、私的な意見では、どんな文章や作品も、その全体像を知ることで、内容を深く理解できるものではないでしょうか。


 前回までで2の疑問を答えました。


 1 国が守る法律が必要。


 2 他国から自分たちの国を知ってもらう(外交上)。


 3 私たち(国民として、また人間として)が最低限守らなければいけない約束。


 こんな感じで最後まとめ、3の疑問について途中まで説明していたところです。3の疑問は、日本の憲法って誰が作ったのかでした。その説明をするために、まず、終戦前に調印されたポツダム宣言の条文を取り上げて、解説していました。ですが、このポツダム宣言の内容は、ある矛盾を含んでいるのはおわかりでしょうか? 今回はその矛盾からやって行きたいと思います。


   われらは、日本人を民族として奴隷化しようとし又は国民として滅亡させようとする意図を有するものではないが、われらの俘虜を虐待した者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重な処罰を加える。日本国政府は、日本国国民の間における民主主義”の復活強化に対する一切の障害を除去しなければならない。言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は、確立されなければならない。


 ブログというのは実に便利で、前回の内容を、コピペするだけで再現できてしまうのは、文章家にとってはありがたい機能です。さて、前置きはようやく終わりを迎え、赤く強調したキーワード『民主主義』に後注目ください。これが矛盾している内容です。


 そもそも民主主義とはいったい何なのでしょう?


 私もそうですが、民主主義という言葉や意味はわかっていますし、民主主義がどのような理由でできた歴史も知っていますが・・・・。


 文章で説明できますか? 


 子供に聞かれたら答えることができますか? 


 また、その言葉で子供が理解できると思いますか?


 私が何が言いたいのか掴みにくいし、何難しいこといってんだと思うかもしれません。でも、これは熟語で良くあるんですよ。熟語の読みや、書き方がわかるのに、明確な意味を説明することができない。あるいは難しい。民主主義という言葉は、「民主」という熟語と、「主義」という二つの熟語で成り立っているのはすぐにわかるのですが、ばらばらにしても意味はわからない。それどころか分けて考えるともっとわかりにくくなるかもしれません。


 自分が理解しているつもりでも、説明できなければ理解しているとはいえない。私も良く熟語で苦い思いを経験したことがあります。その経験を書くのも面白いのですが、また話が脱線しますんでやめておきます。


 民主主義


 〔democracy〕人民が権力を所有し行使するという政治原理。権力が社会全体の構成員に合法的に与えられている政治形態。ギリシャ都市国家に発し、近代市民革命により一般化した。現代では、人間の自由や平等を尊重する立場をも示す。三省堂提供「大辞林 第二版」より


 わからない言葉は辞書で調べるのが一番。最近は、ネットにも辞書がありますので、ずいぶん調べやすくなりました。辞書で調べると、こんな意味が載っているのですが、はっきりいって、こんな文章で理解できる人間はよほどの天才か、国語能力に長けた方だけではないでしょうか。少なくとも、私にはわかりませんし、子供が理解できるとも思えません。


 民主主義を文章で説明するのは、容易なことではありません。今まで私が書いたどの説明よりも困難な難題なのが、色々と調べていくうちに浮かび上がりました。しかも、自分が思っていた民主主義というのが、相当な思い違いや勘違い、またこんなにも曖昧なものだと知ったことに驚きました。なので、どうやって説明して行くのに、かなり迷ったのですが、まず、私が思っていた勘違いについて話していくのがわかりやすいので、私が勘違いしていたことをあげていきます。


 民主主義は話し合いではありません


 おいおい、いきなりこいつは何を言っているんだ。馬鹿じゃないのか。民主主義っていったら、議題を話し合って多数決で決めることだろうと、反論する方もいるかもしれません。私も、最初はそう思っておりました。けれども、それは多くの日本人の誤解だったのです・・・・。


 ここで終われば、実に気になる終わり方なんですけど、これでは物足りないと思いますので、少しだけ進めて行きます。そして、この誤解が、多くの密室政治や談合などを生み出している原因だったりします。話し合いで決めるのが民主的なやり方だと、日本人は思いがちですが、頭の中を少し整理して考えて見てください。


 話し合いで決めるのは合議制なんですよ。平たく言えば、話し合いに前もってルールはないんです。あるのは力関係の差だったりします。では、民主主義は合議じゃないなら、何なのでしょう。それはたいていの会社で行われている『会議』のことを指すんです。


 会議というのは何なのでしょう? 合議やら会議やら似たような言葉で意味で混同しがちですが、会議の本来の意味はルールに基づく話し合いです。国会でもそうですよね。国会では『国会法』という法律の中で、ルールが厳密に定められています。国会にルールがあるのではなくて、国会の前にルールが存在しているんです。つまり、ルール→国会の順番です。これは民主主義を捉える上で大変重要です。


 勘の鋭い方ならもうおわかりですよね。つまり、民主主義というのは話し合いだけでは理解できないという前提で成り立っているということです。


 長くなったのは気になる続きはまた・・・。いつの間にか、日本政治の少し闇の部分に足を突っ込んでいますが、民主主義を考える上で、重要なのでやって行きたいと思います。