さよなら絶望先生のアニメ批評第二弾!


 前回は作品の概要を説明したので、今回は登場人物紹介をしていく。


 糸色望


 言わずとしれたこの物語の主役。絶望先生である。あらゆる物事をネガティブにとらえ、「絶望した!」を口癖に今日も、生徒たちに人生の辛さや、儚さ、やるせなさ、絶望をありとあらゆる社会現象や小説、映画、漫画、詩、ドラマ、アニメなどのネタを例に取り教えていく。希望のない人生こそ、彼のもっとうであり、本人はすぐに首を吊って死のうとするが・・・本当は死にたくないようである。


 一見すればなかなか格好良い先生に見える。他の先生からの評判も勘違いであっても高いようだ。ルックスもそれなりに良く、実家は資産家らしいが、家族関係には多々問題があるようである。


 ちなみに、本名は糸色 望(いとしき・のぞむ)で横文字で書くと絶望先生になる。


 いろんな意味で謎の多い人物ではあるが、この漫画には関しては深いことを考えてはいけない。ギャグアニメにあるのは、その演出やネタにある面白さを極限にまで高めることだけである。


 さて、詳しくは絶望先生のアニメ第一話かコミックスを見てもらいたいのだが、この絶望先生がどれほど素晴らしい先生かを知る多くのエピソードの一つを紹介しよう。


 進路希望調査ではありません。絶望調査です。


 高校生にもなると、必ず一度は行われる進路希望調査。紙に第一志望から第三志望まで書く内容である。私も似たような調査をやったことあるし、読者の方も経験があるはず。たいていは、自分が届きそうな大学やら職業を書くのだが、これがいったい何の意味があるのか・・・私は大人になってもわからない。学校恒例の行事というのは、生徒は蚊帳の外である。自分たちが知ればいいという感が強い。


 では、絶望調査とは何なのか?


 簡単に言えば、自分が絶望だと思う事柄を第一志望から第三志望まで書くという内容である。例をあげてみよう。


 第一志望 ミュージシャン

 第二志望 アーティスト

 第三志望 タレント


 第一志望 東大

 第二志望 京大

 第三志望 慶応大


 第一志望 大リーガー

 第二志望 プロ野球選手

 第三志望 甲子園出場


 世間一般では圧倒的になりにくい職業や難易度の高いレベルの大学などは、一度は入りたいと思っても、その絶望的なレベルの高さから、諦めてしまう人がほとんどである。そんな自分が絶望的な進路を書くのが絶望調査であり、自分自身の理想と現実を明らかにした有能な調査である。


 夢では食ってはいけない。芸術家は一度は耳にする言葉であり、現実を見ないで夢にしがみつこうとする若者に警告を与える絶望先生の真にネガティブな教育方針が現れている。単に嫌がらせなんて思ってはいけない。


 と、一つのエピソードを紹介したが、まだまだこんなものではない。もし、興味があるなら、単行本を読んでみるのをお薦めする。ちなみに私が行った本屋さんでは、一巻はどこも売り切れだった